こそばゆい想いで(巻頭文より)

平成六年夏、三十歳の若さで他界した同級生の供養を兼ねて、同級会が行われた。
木造校舎が間もなく取り壊されることが決まっていたこともあり、想い出深い小学校に集合した。四十間近い同級生たちは、それぞれの人生を過ごし、相応の風貌を呈していた。話がはずむにつれ、顔が少年の頃に戻っていた。グランドを見下ろしたとき「こんなに小さかったのか」と心の中でつぶやいたことを今も覚えている。
水飲み場のアルミのコップ、秘密の場所だったステージ脇の用具置き場、ギーギーと鳴く階段、ちょっと怖かった理科室の人体モデル、一度も開けたことのない扉、大人の匂いがした保健室、 金魚が泳いでいた池、庭に咲いていたへちまの黄色い花、緑の黒板、木の机、跳び箱、鉄棒---。
過ぎ去った時間の長さに反比例し、こそばゆい想い出とともに木造校舎の記憶が鮮やかに蘇ってくる。

(撮影者)

表紙

表紙

授業参観に向かう家族

授業参観に向かう家族

下足箱

下足箱

振り子時計

振り子時計

地図

地図

廊下のスピーカー

廊下のスピーカー

水飲み場のアルミのコップ

水飲み場のアルミのコップ

感動の写真集(発刊に寄せて)

大寺小学校の歴史は、学校に思いを寄せる地域の方々の歴史のように思います。そのときそのときが校舎に詰まっていることを実感します。Мさんのこの写真集に込められた思いにその気持ちを新たにします。学校を愛し、いとおしく思う気持ちに感動しました。
私は、残念ながら旧校舎は体育館しかわかりませんが、町村合併後まもなく建てられた校舎は、地域の皆さんの思いがいっぱいの校舎だったと思います。黒光りする床からは、木の温もりと歴史を、そして、ここで学び活躍した沢山の方々の姿が目に浮かび、 共に過ごしたような錯覚を抱きました。春は桜の花が咲き乱れ、夏は新緑に映え、秋は美しい紅葉に照らされ、冬は白一色の学校。どの景色も、見晴らしのよい高台にある学校を包んでくれていたことでしょう。
今はなくなった校舎を記憶に止め、歴史を大事にすることで、ある時期を共に過ごした方々との思いを大事にさせてくれるこの写真集に、ともすれば忘れがちな心を感じます。子供たちへの最高の贈り物に感謝します。

佐藤校長

教室

教室

v

楽器置き場

校長室

校長室

長室前の廊下

校長室前の廊下

保健室

保健室

教室前の廊下

教室前の廊下

体育館

体育館

卒業の記念に(発刊に寄せて)

旧校舎に最後の入学をした子どもたちの、卒業の記念にと、 旧校舎の写真集を作ってくれました。親の方がより懐かしさを感じることと思います。ありがとう。 本当にご苦労さまでした。
彼は写真が趣味で。長男たちの卒業を祝う会のときは、入学式から撮って置いてくれたビデオを観て、子どもたちの成長を振りかえりました。子どものスポ少が縁で、親の方が意気投合し、今も集っています。「お母さんが中心の会だから続いている」と、まぜてもらっているおとなしい父ちゃんたちは、ひがんでいます。妻や子どもたちは、二人ともいい加減さがそっくりだと言ってるようです。『仏教の中道の心はいい加減さ』という本を見つけ、「とってもいい加減」と自己満足しています。
彼の実行力に、敬意を表します。何のお手伝いもできませんでしたが、子どもたちの作ってくれた`縁`を大事にしていきたいとおもっています。

小松氏/PTA会長・友人

百葉箱

百葉箱

正面入り口上部

正面入り口上部

教室のガラス窓

教室のガラス窓

校舎東側の外観

校舎東側の外観

校舎南側の外観

校舎南側の外観

体育館の外観

体育館の外観

校庭の桜

校庭の桜

ぶら下がりシーソー

ぶら下がりシーソー

ブランコ

ブランコ

動物飼育小屋

動物飼育小屋

校庭の遊具

校庭の遊具

鉄棒

鉄棒

サッカーゴール

サッカーゴール

あとがき

三月十九日、娘の卒業式の日です。この学年が木造校舎最後の新入生でした。 約一年間を過ごしたことになります。しかし、時が過ぎ大人になったときに思い浮かべるのは現在の立派な校舎なのかもしれません。
木造校舎のあったところは整地され、グラウンドは雑草が生えたままです。ただ、周囲にある桜の木だけは毎年美しい花を咲かせています。昨年の盆休みに、私の両親をはじめ家族全員で校舎跡地に行き、須川沿いで打ち上げられた花火を見ました。
写真はずいぶん前からの趣味のひとつです。モノクロ写真は、フィルム現像からプリントまで自分なりにやっています。最近では、ホームページを立ち上げていることもあり、デジタルカメラで撮影する機会が多くなりました。
この写真は平成四年から五年にかけて撮影したものです。あの頃は子どもたちが元気に校舎の中を走り回っていました。確か授業参観の日に先生の承諾を得て撮影しました。そのときはこのような形で写真を発表することになろうとは、思いもしませんでした。
素人の域を越える写真ではありませんが、この写真を見ていただいたときに、だれもが過ごしたあの少年時代を、そして懐かしい木造校舎を思い浮かべていただければ幸いです。最後に、ご協力をいただきました皆様と、寄稿の依頼をこころよくお受けくださいました佐藤校長先生と、PTA会長の小松様に深く感謝申し上げます。

小誌を卒業する娘とすべての在校生に捧げます(撮影者)

娘の入学日の教室

娘の入学日。この頃は1学年1クラスで半年後には現在の校舎に移りました。